木管五重奏で演奏した曲目について、ここにシェアしたいと思います。
参加してくださったみなさん、そしてこれから加わる皆さん、
さらに、「曲のもつ世界観を広げていくには?」   一緒に考えてみましょう。

J.S.バッハ《シンフォニア》

ホルンの課題曲として取り組みました。

管楽器は単独で旋律を担うこともありますが、オーケストラにおけるホルンは、その柔らかな重奏の和声によって、金管群と木管群を自然にブレンドさせる役割も担っています。今回のウォームアップでは、バッハの《シンフォニア(三声のインヴェンション)》に挑戦しました。
バッハのシンフォニアは「ポリフォニー(多声音楽)」と呼ばれ、
複数の独立した旋律(声部)が、それぞれの動きを保ちながら同時に進行する音楽です。
つまり、どのパートも単なる伴奏ではなく、それぞれが旋律であり、同時に和声でもある。
比較的音域の広いホルンにとって、こうしたポリフォニーから学べることは多くあります。
皆で集まったときには、こういった性質の作品が大きな学びをもたらしてくれるのかもしれません。

ホルンのウォームアップ後は、本編の木管五重奏へ。

■ ヘンデル《水上の音楽》より「アレグロ」

1曲目は、ヘンデル《水上の音楽》より「アレグロ」。
一見シンプルに見える楽曲ですが、クラシック音楽はシンプルだからこそ難しい側面があります。
近年の吹奏楽作品の中には、すでに演出が十分に施され、ある程度の予備知識がなくても形になりやすいものもあります。しかしこの「アレグロ」は違います。
譜面上の音符を単に発するだけでは、平坦な表現になってしまいます。
記されてはいないリズムの躍動感、また西洋文化や様式への深い理解が求められます。そして、それらを体現させられるだけの技術やアンサンブルの精度が問われます。

1曲目としては少し難しかったかもしれませんが、
皆さんは徐々に温まりながら、確実にアンサンブルを作り上げていきました。


■ 「エア」〜西洋のリズム感を知る〜

2曲目は同じく《水上の音楽》より「エア」。
付点のあるリズムにおいて、よく焦点となるのが「跳ね方」です。
日本のお祭りなどに見られる跳ね方とは少し異なる、西洋独特のノリ。
どちらが良い・悪いということではありません。
しかし、クラシック音楽という西洋文化を理解するうえでは、
その背景にある地域的・民族的感覚を知ることも大切です。
音楽や芸術を深めていくと、その背後にある文化や歴史への理解も自然と深まっていきます。

南信ユースオーケストラの活動は、単なる音楽表現の場ではなく、
授業ではなかなか触れることのない「その背景」に出会う機会でもあります。
これからを担う次世代の世界が、より広がりのあるものになることを願っています。


■ サン=サーンス《動物の謝肉祭》より「亀」

時間の都合上すべての楽曲には取り組めませんでしたが、ホルンのAさんの「亀ならば!」
という声に後押しされ、3曲目は「亀」に挑戦しました。

原曲はピアノ2台と弦楽器編成。
二宮先生の編曲では、連符のパートをフルート・オーボエ・クラリネットが、
あの有名な旋律をファゴットとホルンが担当します。

皆さんは、どんな亀を想像しましたか?
ゆっくり、重々しく動く旋律。
泳いでいるのか、歩いているのか。
連符は何を表しているのでしょうか。

サン=サーンスが皮肉を込めてこの編曲をしたことは有名ですが、
想像力を働かせることで音楽はより立体的になります。


■ 「白鳥」〜音に責任を持つということ〜

ワークショップの最後は「白鳥」。
旋律の受け渡しやパッセージの引き継ぎなど、より繊細なアンサンブルが求められます。

優美な白鳥は描けたでしょうか。
ただ音を出すのではなく、その音が何を意味するのかを考えること。
そして、自分が発する音に責任と意図を持つこと。
これもまた、クラシック音楽の醍醐味のひとつではないでしょうか。



■ 「想うこと」

今回のワークショップで皆さんに感じてほしかったことは、「想いやること」。
故・岩城宏之氏の愛弟子であり、本プロジェクトにご協力いただいている駒井氏の言葉に
「音楽とは想うこと」というものがあります。
自分の主張をすること(音を出すこと)はもちろん大切です。
しかし、相手の声に耳を傾けること(音を聴くこと)なしに、豊かな響きは生まれません。

そして、音符と同じように、あるいはそれ以上に大切なのが「休符」。
静寂があってこそ、音楽は生まれます。
始まりの合図には意思を込める。
休符の向こうには、音を奏でている仲間がいる。

一人で奏でる音楽も素晴らしいですが、
皆で奏でる音楽は、やはり特別なわくわくがあります。

年齢や学校の異なる、初めましての皆さんでしたが、
ワークショップを通して、そうした“想い”の部分も少し感じてもらえていたなら嬉しく思います。

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