寒さ厳しい伊那谷では、
冬の間、手仕事に精を出してきました。
竹細工、箒作り、冬の乾物作り。それらは、この地の特産品であり、
                                         暮らしの中から生まれた伝統的な手仕事でもあります。

みのわの箒を残したい


「来年、みんなで作りましょう。」
ホウキモロコシの収穫まで、あとわずか。

箕輪に残る最後の箒職人・唐澤さんに、
箒作りの講師のお願いに伺ったのは、
まだ暑さが厳しかった昨年9月のことでした。

私の実家で使われていた箒は、
父や母の知人が作った、

軽くて使いやすく、よく掃ける
ホウキモロコシの箒でした。
実際に手に取ると、その使い心地に、
掃除が好きになるほどです。

「こんなに素晴らしいものを作る人に会ってみたい」

そう思う私に、父は
「いつでも紹介してやる」と言っていました。

月日が流れ、父は旅立ち、箕輪に残る箒職人が、

父の知人でもあった唐澤さんただ一人だと知りました。

— あの箒がなくなってしまう。ーなんとかしなければ。
お伺いしたとき、
唐澤さんは手に怪我をされていて、
「来年ね」と約束をしました。

けれど、その数ヶ月後、唐澤さんは旅立たれました。

手仕事に込められたもの
手仕事には、
たくさんの想いが込められています。

思い出も、暮らしも、時間も。

寒さ厳しい伊那谷で、冬の手仕事だった箒。
それらは、お金に変えられるものでは
ほとんどなかったのかもしれません。
「よかったら使ってください」
そう言って、譲り受けるものだったはずです。
私が唐澤さんを訪ねた、あの日もそうでした。

未来へつなぐということ
地域の物産、伝統工芸品。
それは、
いろいろな角度から見ることができるでしょう。
感じ方も、人それぞれ。

けれど、未来に残したい気持ちは、
きっと同じではないでしょうか。
消えてしまった、
箕輪のホウキモロコシで作る箒を、
もう一度。

そのために、まずは唐澤さんが残してくれた
「種」をつないでいこうと思います。
来年は、
他地域から講師の先生をお招きし、
箒作りができるよう、
五福は学びを始めたところです。
伝統工芸品としてお金に変えるのか、
気持ちの交換として残していくのか。
時代とともに、形は変わるのかもしれません。
正解はひとつではないからこそ、
みんなで思いをシェアできたらと思います。


このプロジェクトでは、
消えゆく地域の手仕事をつないでいくために、

みんなで考え、行動していきます。

|2025年 唐澤さんの種をつなぐ(ホウキモロコシの栽培)、ホウキ作りの体験
|2026年 ホウキモロコシの栽培、他の地域より講師を招き手箒作り体験

2026年度のご案内は、今しばらくお待ちください。

※こちらは、五福が主催する[五福の巡りあるくらしプロジェクト]

の一環となります。このプロジェクトは一般財団法人長野県文化振興事業団アーツカウンシル推進局の支援をもとに、地域の皆さんと創り上げていきます。自然豊かな信州の風土から生まれ、受け継がれてきた地域文化をこの先の未来にも繋げたい。まだ知らなかった伊那谷の地を一緒に旅しませんか?

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